2020年第1回のまなびキッチンのクラスは東京・中央区で開催しました。
今回のテーマは「シンガポール」
小学校1年生の男の子2人と、保育園に通う女の子2人が参加してくれました。
最初に、まなびキッチンのルールを説明。
まなびキッチンは、子どもたちみんなが主役であること。
先生が一方的に、あれをしなさい、これをしなさいとは言わないこと。
何か問題があったらまずは自分たちで解決すること。
そして、お互いひとりひとりを大切にすること。
まなびキッチンが目指す「子どものリーダーシップ教育」については、子どもたちには「????」かもしれません。
リーダーってどんなイメージ?と質問してみたら「みんなをひっぱるひと」というイメージに付随する様々な言葉が出てきます。
この部分については、大人が言葉でいくら説明するよりも、チームで何かに取り組む中で、自分の強みを生かしてチームに貢献すること、ひとりひとりとの関係を丁寧に作っていくことなどを通して、自分らしさを生かしたリーダーシップの形が見えてくるものなので、こちらからあぁしなさいこうしなさいとか、理想のリーダーのような話はしません。
というわけで、まずはシンガポールチキンライス作りからスタートです。
4人の子どもたちに対してまな板は2枚、包丁は2本。
(キッチンの設備にはもっとたくさんあるのですが、まなびキッチンではあえてそういう環境になるようにしています)
みんな、私が切りたい、僕が先に切りたい、といった主張をします。
私のほうを見て(笑)。
でも、私が子どもたちにかける言葉はこれだけです。
「さっき、ルールを説明したよね。自分でまずは解決すること。その解決方法を見つけるときには、ひとりひとりを大切にすることを心がけてね。」と。
すると、片方のまな板の前では「僕は後でいいから、先に●●ちゃんがやっていいよ」という会話が聞こえます。
もう片方はどうでしょう。
「僕が先!」「私が今すぐやりたい!」
まだまだ続いています。
そういった、ひととひととの衝突も、小さい規模で少しずつ経験をしてもらって、自分の力で解決する、自分たちではどうしようもなければ、周囲から提案をしてみたり、チームわけをかえてみようか?という声がかかったりします。
(クラスを運営する側からすると、この時間までに料理を完成させたいな、とか、さまざまな大人の事情はあるのですが、そこはあえて、色々なところにバッファを設けておいて、ひとしきり盛り上がっている様子を見守ります。もちろん、そのときには包丁など危険なものは手が届かないところに置いておいて、です)
下ごしらえをしながらも、私からは特に指示は出しません。
「次は鶏肉にフォークで穴をプスプスするんだね。なんで穴をあけると思う?」などと問いかけます。
子どもたちは、プスプスと穴をあけながら、あぁでもない、こうでもないと自分の意見を述べてみたり、お友達の意見を聞いて、新たなアイデアを思いついてみたり・・・
「味がしみこみやすくするため」という答えは出てきたのですが「身の繊維をほぐしてやわらかくするため」ということまではなかなかたどり着けない。
このときは私からこう伝えました。
「きっとチキンライスが完成して、口に入れてみたらわかるから、この質問は宿題にしておくね。」と。
鶏肉に塩をもみこみ、炊飯器にお米を入れ、水を入れ、おろし生姜、おろしにんにくを入れ、皮目のほうを下にして鶏肉を入れたらスイッチオン。
このときも質問をします。
「なんで鶏肉って皮目を下にして入れるんだろうね?」
「生姜って木になってるのかな?地面の中かな?どこにあるのかな?」
「鶏肉を重ねたままで炊飯器のスイッチを押したらどうなるかな?」などなど。
今回の参加者のキッズはみんな積極的に発言をする子たちだったので、同時に意見をいう子も多いかな、と初めは想像していたのですが、ひとりずつ、譲り合って発言をしていました。
炊飯器に調理を任せたあとは、世界地図を広げてシンガポールと日本について考える時間です。
「日本からシンガポールまで飛行機でどれくらいかかるかな?」という質問には、お父さんが海外出張によく行く子から「7時間半!」という大正解がすぐに返ってきました。
それでも私はあえてみんなに質問します。
「ほかのみんなはどう思う?」と。
その他、シンガポールと東京23区の広さを比べてみたり、シンガポールと日本の島の数はどっちが多い?というクイズを出してみたり(圧倒的に日本が多いんです。6000以上も島がある国、日本!)、小学1年生はまだ学校では習っていない「赤道」の話も。
「シンガポールと東京はどっちが暑いかな?」という問いを考えるのに、北海道よりも東京があたたかい、東京よりも沖縄があたたかいという情報は既に持っている子どもたちは「シンガポールのほうが絶対暑い!」と答えます。その理由は「日本よりも地図で下(南)にあるから」
「じゃぁ、シンガポールよりもっと南にある国はもっともっと暑いのかな?」という質問をさらに投げかけると、みんな、うーん・・・うーん・・・と考えてこんでいます。
そしてひとりの子が地図上の赤い線を見つけます。それは赤道。
赤い線が通っている国を辿ると、北アフリカや、ブラジルなども通っています。
子どもたちがテレビや本で見たことのある、アマゾンや、北アフリカは確かとても暑そうだった。だからきっとこの赤い線のところはもっと暑いのだ、ということがわかります。
一方で、北極も氷があるし、南極にも氷があるけれど、南にいけば行くほど暑いのであれば南極には氷はないはず。
というところで、太陽の周りを地球がぐるぐる回っていて、太陽に一番近い位置付近にあるのが赤道が通っている国なんじゃないか?ということに気づいた子どもたち。
(キッチンにトマトやレモンがあったのに、拳で太陽と地球を再現する私・・ださい)
夕方6時を過ぎると子どもたちが騒ぎ始めます。
「おなかがすいた!まだごはんできないの?」と。
元気いっぱいな子どもたちです。
考えたり学ぶことにもそろそろ飽きてきたようなので、お次はキッチンでサラダを作ります。
用意したのは、レッドオニオン、トマト、アボカド、きゅうり。
4人に4つの食材。
どうやって分担するのかな・・・と観察していると、みんなに譲って最後になった子がレッドオニオン担当になり「コンタクトレンズがほしい。。」と嘆きながらもがんばってスライスしていました。
きゅうりは皮をむきすぎて、とっても細いきゅうりに。
トマトは1玉をまな板の上に置いて「これを4人でおいしく食べるには、どうやって切ったらみんなHAPPYになれるのかな?」と問いかけてみました。
4人だから、半分をもう半分にしたらいい、という意見と、4等分だと大き過ぎるという意見が対立し、最終的には8等分することに決まりました。
そしてついにごはんが完成。
まずは鶏肉を取り出して、これ以上火が通ってボロボロにならないようにします。
炊きたては熱いので、カットは私のほうで対応しましたがもちろんここにも質問。
「きれいな四角になっていないチキンが2枚。4人がHAPPYになるためにはどうやってカットして、わけたらいいのかな?」
みんなお腹が空いているので先ほどの考える時間のような熱意はないですが(笑)、はみ出ている部分をまず切り落として、残りを同じくらいの厚さに切り、まずは大きいお肉を1きれずつ、ひとりずつ選び、次に小さめのお肉を1きれずつ選んでみようということになりました。
その中で、1回めにとても大きいお肉を取った子が「次はみんなより小さいお肉をとるね」と言っていたのが印象的。(もちろん最後まで「自分のが一番少ない」と主張している子もいましたけどね)
みんなでいただきますをするのも、誰が発声するのか相談。
ようやく食べ始めたら、みんな口々に「おいしい!!」と。
自分で作ったごはんはおいしい!
また今度家でも作りたい、といっていました。
今回、実はあるテレビ番組のディレクターの方がいらしていて、ずっと撮影をしていたのですが、みんな試食のときになってようやく気づきます。
「ねぇ、もしかして、今ずっとテレビの撮影していたの?いつテレビに出られるの?」と。ディレクターさんもびっくり!
放送日時など公表されたらここでもご案内しますね!
<今回のクラスに提供いただいた食材>
Farmshipさんのバジル
こちら、なんと水耕栽培なのです。
水耕栽培といえばレタスなどの葉野菜のイメージがありますが、バジルも水耕栽培できるなんて!!そして、袋ではなくパックに詰められているので、輸送のときも、お店で買って持ち帰るときも、袋詰めされたバジルとちがってクシャッとつぶれずにおいしさをキープできます。
クラスの中で、バジルとパクチーのパック開けたての香りを嗅ぐ時間も作りましたが、みんな「バジルとってもいい匂い!」「うちのお父さんバジル大好きなの!」などと盛り上がっていました。
クラスの調理に使用したほか、参加されたお子さん1人1パックずつお持ち帰りいただきました。
Farmshipさん、ありがとうございました!
参加してくれたキッズと、もぐもぐタイム終盤に「はっ!!!今日何にも写真撮ってないよー!」と気づいて慌てて撮影した1枚。
まだまだしばらくはクラス運営でいっぱいいっぱいで、撮影する余裕はあんまりなさそうですががんばって各回1枚はみんなの素敵な表情をのこしていきたいと思います。
学校の授業の後に参加してくれたお友達、保育園を早退して参加してくれたお友達、そして、お仕事を早退してお子さんを連れてきてくださった保護者の方、本当にありがとうございました。